第3章 着手金及び報酬金


■第1節 民事事件

民事事件の着手金及び報酬金の算定基準

第9条
本節の着手金及び報酬金については、この規定に特に定めのない限り、着手金は事件等の対象の経済的利益の額を、報酬金は委任事務処理により確保した経済的利益の額をそれぞれ基準として算定する。

経済的利益の算定可能な場合

第10条
前条の経済的利益の額は、この規定に特に定めのない限り、次のとおり算定する。

  • (1) 金銭債権は、債権総額(利息及び遅延損害金を含む。)
  • (2) 将来の債権は、債権総額から中間利息を控除した額
  • (3) 継続的給付債権は、債権総額の10分の7の額。ただし期間不定のものは、10年分の額
  • (4) 賃料増減請求事件は、増減額分の7年分の額
  • (5) 所有権は、対象たる物の時価相当額
  • (6) 占有権、地上権、永小作権、賃借権及び使用借権は、対象たる物の時価の2分の1の額。ただし、その権利の時価が対象たる物の時価の2分の1の額を超えるときは、その権利の時価相当額
  • (7) 建物についての所有権に関する事件は、建物の時価相当額に、その敷地の時価の3分の1の額を加算した額。建物についての占有権、賃借権及び使用借権に関する事件は、前号の額に、その敷地の時価の3分の1の額を加算した額
  • (8) 地役権は、承役地の時価の2分の1の額
  • (9) 担保権は、被担保債権額。ただし、担保物の時価が債権額に達しないときは、担保物の時価相当額
  • (10) 不動産についての所有権、地上権、永小作権、地役権、賃借権及び担保権等の登記手続請求事件は、第(5)号、第(6)号、第(8)号及び前号に準じた額
  • (11) 詐害行為取消請求事件は、取消請求債権額。ただし、取り消される法律行為の目的の価額が債権額に達しないときは、法律行為の目的の価額
  • (12) 共有物分割請求事件は、対象となる持分の時価の2分の1の額。ただし、分割の対象となる財産の範囲又は持分に争いのある部分については、争いの対象となる財産又は持分の額
  • (13) 遺産分割請求事件は、対象となる相続分の時価相当額
  • (14) 遺留分減殺請求事件は、対象となる遺留分の時価相当額
  • (15) 金銭債権についての民事執行事件は、請求債権額。ただし、執行対象物件の時価が債権額に達しないときは、第(1)号の規定にかかわらず、執行対象物件の時価相当額(担保権設定、仮差押等の負担があるときは、その負担を考慮した時価相当額)

経済的利益の算定不能な場合

第11条
前条により経済的利益の額を算定することができないときは、その額を800万円とする。

  • 2 所属弁護士は、依頼者と協議のうえ、前項の額を、事件等の難易、軽重、手数の繁簡及び依頼者の受ける利益等を考慮して、適正妥当な範囲内で増減額することができる。

民事事件の着手金及び報酬金

第12条
訴訟事件、調停事件、非訟事件、家事審判事件、仲裁事件の着手金及び報酬金は、この規定に特に定めのない限り、経済的利益の額を基準として、それぞれ表1のとおり算定する。具体的な金額は、表2のAの欄に経済的利益をあてはめ計算するものとする。

表1
経済的利益の額 着手金 報酬金
300万円以下の部分 8% 16%
300万円を超え3,000万円以下の部分 5% 10%
3,000万円を超え3億円以下の部分 3% 6%
3億円を超える部分 2% 4%

表2
経済的利益の額 着手金 報酬金
300万円以下の場合 A×8% A×16%
300万円を超え3,000万円以下の場合 A×5%+9万円 A×10%+18万円
3,000万円を超え3億円以下の場合 A×3%+69万円 A×6%+138万円
3億円を超える場合 A×2%+369万円 A×4%+738万円
  • 2 前項の着手金及び報酬金は、事件の内容により、増減額することができる。但し、第5条3項に規定する場合は、この限りではない。
  • 3 着手金の最低額は、前2項の規定にかかわらず、10万円とする。

示談交渉事件

第13条
示談交渉(裁判外の和解交渉をいう。以下同じ。)事件の着手金は、この規定に特に定めのない限り、それぞれ前条第1項及び第2項の各規定により算定された額の2分の1に減額することができる。 但し、報酬金はこの限りでない。

  • 2 前項本文により減額を行った場合、示談交渉事件から引き続き訴訟その他の事件を受任するときの着手金は、この規定に特に定めのない限り、前条第1項及び第2項の各規定により算定された額の2分の1とする。
  • 3 示談交渉事件の着手金は、5万円を最低額とする。

(契約締結交渉)

第14条
示談交渉事件を除く契約締結交渉(基本的事実関係や金額等にほとんど対立がなく、相手方と交渉して契約書等にまとめあげ調印するような業務)の着手金及び報酬金は、対象金額を基準として、それぞれ表1のとおり算定する。具体的な金額は、表2のAの欄に経済的利益をあてはめ計算するものとする。

表1
対象金額 着手金 報酬金
300万円以下の部分 2% 4%
300万円を超え3,000万円以下の部分 1% 2%
3,000万円を超え3億円以下の部分 0.5% 1%
3億円を超える部分 0.3% 0.6%
表2
対象金額 着手金 報酬金
300万円以下の場合 A×2% A×4%
300万円を超え3,000万円以下の場合 A×1%+3万円 A×2%+6万円
3,000万円を超え3億円以下の場合 A×0.5%+18万円 A×1%+36万円
3億円を超える場合 A×0.3%+78万円 A×0.6%+156万円
  • 2 前項の着手金及び報酬金は、事案の内容により、増減額することができる。
  • 3 前2項の着手金は、5万円を最低額とする。
  • 4 契約締結に至り報酬金を受けたときは、契約書その他の文書を作成した場合でも、その手数料を請求することができない。
  • 5 契約締結交渉案件のうち、会社の合併、分割、営業譲渡、M&A等の商事案件については、上記表の3倍の額を着手金、報酬金の基準として協議決定する。
    国際法務案件については、上記表の5倍の額を着手金、報酬金の基準として協議決定する。その際依頼者との協議により、報酬金については、報酬金に替えて後記第35条の時間制を採用し、業務終了時にタイムチャージによる手数料の支払いを受けることもできるものとする。
  • 6 前項の契約締結交渉商事案件については、契約締結交渉過程における交渉の立会い、助言、戦略立案等をいい、契約書等の合意文書の作成、修正、内容のチェック等を含むが、デューデリジェンス業務は含まないものとする。

(督促手続事件)

第15条
督促手続事件の着手金は、経済的利益の額を基準として、それぞれ表1のとおり算定する。具体的な金額は、表2のAの欄に経済的利益をあてはめ計算するものとする。

表1
経済的利益の額 着手金
300万円以下の部分 2%
300万円を超え3,000万円以下の部分 1%
3,000万円を超え3億円以下の部分 0.5%
3億円を超える部分 0.3%
表2
経済的利益の額 着手金
300万円以下の場合 A×2%
300万円を超え3,000万円以下の場合 A×1%+3万円
3,000万円を超え3億円以下の場合 A×0.5%+18万円
3億円を超える場合 A×0.3%+78万円
  • 2 前項の着手金は、事件の内容により、増減額することができる。
  • 3 前2項の着手金は、5万円を最低額とする。
  • 4 督促手続事件が訴訟に移行したときの着手金は、第12条の規定により算定された額と前3項の規定により算定された額との差額とする。
  • 5 督促手続事件の報酬金は、第12条の規定により算定された額の2分の1とする。ただし、依頼者が金銭等の具体的な回収をしたときでなければ、これを請求することができない。

行政上の不服申立事件

第16条
行政上の異議申立、審査請求、再審査請求その他の不服申立事件の着手金は、経済的利益が算定可能な場合は第12条を準用して弁護士費用を算出し、経済的利益が算定不可能な場合は、事案の複雑さ、公益性等を考慮し、各依頼者と協議して定めるものとする。

  • 2 前項の着手金は、10万円を最低額とする。

手形、小切手訴訟事件

第17条
手形、小切手訴訟事件の着手金及び報酬金は、経済的利益の額を基準として、第12条の規定により算定された額の2分の1とする。

  • 2 前項の着手金及び報酬金は、事件の内容により増減額することができる。
  • 3 前2項の着手金は、5万円を最低額とする。
  • 4 手形、小切手訴訟事件が通常訴訟に移行したときの着手金は、第12条の規定により算定された額と前3項の規定により算定された額との差額とし、その報酬金は、第12条の規定を準用する。

貸室明渡事件

第18条
建物の一部分や貸室明渡請求訴訟事件の着手金及び報酬金については、賃料(賃料相当損害金や相場の賃料額を含む)を基準として次表のとおりとする。 

着手金 賃料3ヶ月分相当額(但し最低額20万円)
報酬金 賃料4ヶ月分相当額(但し最低額20万円)
  • 2 前項の着手金及び報酬金は、事件の内容により増減額することができる。
  • 3 貸室明渡請求事件の示談交渉着手金は賃料の2ヶ月分とし、訴訟になった場合は賃料1ヶ月分が追加着手金となる。

(離婚事件)

第19条
離婚事件の着手金及び報酬金は、次表のとおりとする。

離婚交渉事件・離婚調停事件 着手金 報酬金
30万円以上 50万円以上
離婚訴訟事件 着手金 報酬金
50万円以上 70万円以上
  • 2 離婚交渉事件・離婚調停事件から引き続き離婚訴訟事件を受任したときには、離婚訴訟事件を受任した時に、離婚訴訟事件の着手金から離婚交渉事件・離婚調停事件の着手金を差し引いた残額を追加する。
  • 3 前2項において、財産分与、慰謝料などの財産給付を伴うときには、依頼者と協議のうえ、第12条の規定により算定された着手金及び報酬金を加算して請求するものとする。
  • 4 子どもの親権又は監護権をめぐる紛争、親子関係の存在又は不存在、嫡出否認等経済的給付を伴わない調停又は審判事件については次表のとおりとする。但し、子供の身柄引渡請求に関する事件については、次表の倍額を基準とする。

着手金 30万円〜80万円
報酬金 50万円〜120万円

境界に関する事件

第20条
境界確定訴訟、境界確定を含む所有権に関する訴訟、その他境界に関する訴訟の着手金及び報酬金は、次表のとおりとする。

着手金及び報酬金 それぞれ50万円以上とする
  • 2 前項の着手金及び報酬金は、第12条の規定により算定された着手金及び報酬金の額が前項の額を上回るときは、同条の規定による。

(保全命令申立事件等)

第21条
仮差押及び仮処分の各命令申立事件(以下「保全命令申立事件」という。)の着手金は、第12条の規定により算定された額の2分の1とする。但し、審尋又は口頭弁論を経たときは、同条の規定により算定された額の3分の2とする。

  • 2 前項の事件が重大又は複雑であるときは、第12条の規定により算定された額の4分の1の報酬金を受けることができる。但し、審尋又は口頭弁論を経たときは、同条の規定により算定された額の3分の1の報酬金を受けることができる。
  • 3 第1項の手続のみにより本案の目的を達したときは、前項の規定にかかわらず、第12条の規定に準じて報酬金を受けることができる。
  • 4 保全執行事件は、その執行が重大又は複雑なときに限り、保全命令事件とは別に着手金及び報酬金を受けることができるものとし、その額については、次条第1項及び第2項の規定を準用する。
  • 5 第1項の着手金及び第2項の報酬金並びに前項の着手金及び報酬金は、本案事件と併せて受任したときでも、本案事件の着手金及び報酬金とは別に受けることができる。
  • 6 保全命令申立事件及び保全執行事件の着手金は、10万円を最低額とする。

(民事執行事件等)

第22条
民事執行事件の着手金は、第12条の規定により算定された額の2分の1とする。

  • 2 民事執行事件の報酬金は、第12条の規定により算定された額の4分の1とする。
  • 3 民事執行事件の着手金及び報酬金は、本案事件に引き続き受任したときでも、本案事件の着手金及び報酬金とは別に受けることができる。但し、着手金は第12条の規定により算定された額の3分の1とする。
  • 4 執行停止事件の着手金は、第12条により算定された額の2分の1とする。但し、本案事件を引き続き受任するときは、同条の規定により算定された額の3分の1とする。
  • 5 前項の事件が重大又は複雑なときは、第12条の規定により算定された額の4分の1の報酬金を受けることができる。
  • 6 民事執行事件及び執行停止事件の着手金は、5万円とする。

(倒産整理事件)

第23条
破産、民事再生、会社整理、特別清算及び会社更生の各事件の着手金は、資本金、資産及び負債の額、関係人の数等事件の規模並びに事件処理に要する執務量に応じて定め、それぞれ次の額を基準として、依頼者と協議決定する。ただし、これらの事件に関する保全事件の弁護士費用は、着手金に含まれる。

  • (1) 自己破産申立事件
  •   (a)個人 30万円以上
  •   (b)法人 100万円以上
  • (2) 債権者申立の破産事件 100万円以上
  • (3) 民事再生事件
  •   (a)個人  30万円以上
  •   (b)法人 100万円以上
  • (4) 会社整理事件 100万円以上
  • (5) 特別清算事件 100万円以上
  • (6) 会社更生事件 200万円以上
  • 2 前項第(1)号(a)の事件は、依頼者の免責が確定したときに限り、受領した着手金の額を限度として、報酬金を受けることができる。
  • 3 第1項第(1)号(b)ないし第(6)号の各事件の報酬金は、第12条の規定を準用する。この場合の経済的利益の額は、配当額、配当資産、免除債権額、延払いによる利益及び企業継続による利益等を考慮して算定する。

(任意整理事件)

第24条
任意整理事件(前条第1項に該当しない債務整理事件をいう。)の着手金は、資本金、資産及び負債の額並びに関係人の数等事件の規模に応じて定め、それぞれ次の額とする。

  • (1) 事業者の任意整理事件   50万円以上
  • (2) 非事業者の任意整理事件  20万円以上
  • 2 前項の事件が清算により終了したときの報酬金は、債務の弁済に供すべき金員又は代物弁済に供すべき資産の価額(以下「配当源資額」という。)を基準として、次の各号の表1のとおり算定する。具体的な金額は、各号の表2のAの欄に経済的利益をあてはめ計算するものとする。
  • (1) 所属弁護士が債権取立、資産売却等により集めた配当源資額につき
表1
500万円以下の部分 15%
500万円を超え1,000万円以下の部分 10%
1,000万円を超え5,000万円以下の部分 8%
5,000万円を超え1億円以下の部分 6%
1億円を超える部分 5%
表2
500万円以下の場合 A×15%
500万円を超え1,000万円以下の場合 A×10%+25万円
1,000万円を超え5,000万円以下の場合 A×8%+45万円
5,000万円を超え1億円以下の場合 A×6%+145万円
1億円を超える場合 A×5%+245万円
  • (2) 依頼者及び依頼者に準ずる者から任意提供受けた配当源資額につき
表1
5,000万円以下の部分 3%
5,000万円を超え1億円以下の部分 2%
1億円を超える部分 1%
表2
5,000万円以下の部分 A×3%
5,000万円を超え1億円以下の部分 A×2%+50万円
1億円を超える部分 A×1%+150万円
  • 3 第1項の事件が、債務の減免、履行期限の猶予又は企業継続等により終了したときの報酬金は、第12条第3項の規定を準用する。

(個人の任意整理事件)

第24条の2
個人の任意整理事件(過払金請求も含む)の着手金及び報酬金は次のとおりとする。

  • (1)着手金 債権者一人又は一社あたり 2万円
  • (2)報酬金 報酬金は(a)及び(b)の合計額とする。
  • (a)債権者との交渉により減額した金額の10%
  • (b)回収した過払金額の20%

(労働事件)

第25条
労働事件に関する着手金及び報酬金は次のとおりとし、事案の難易度等を考慮し、依頼者と協議のうえ、具体的金額を決定する。

  • (1)個人
  • (a)示談交渉事件  20万円以上
  • (b)労働審判事件  30万円以上
  • (c)訴訟事件(不当労働行為救済申立事件を含む) 50万円以上
  • (2)法人
  • (a)示談交渉事件  30万円以上
  • (b)労働審判事件  50万円以上
  • (c)訴訟事件(不当労働行為救済申立事件を含む) 100万円以上

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